東野圭吾原作のミステリー映画。すでに放送され、好評を博したテレビドラマ「ガリレオ」の劇場版として制作された映画です。監督を務めたのは、元々フジテレビで数々のドラマの演出を担当していた西谷弘氏です。
天才的な頭脳と端正なルックスを持つ主人公、湯川学を演じるのは福山雅治。誤って元夫を殺害してしまう不遇なヒロイン、花岡靖子を務めるのは松雪泰子。そして、その花岡に淡い恋心を抱き、彼女の犯罪を隠蔽すべく、その天才的な頭脳を駆使する高校教師、石神哲哉は堤真一が演じています。天才的な頭脳を持つ2人の駆け引きこそがミステリーとしてのこの映画の肝であり、最大の魅力と言ってもよいでしょう。
利害を無視し、恋に翻弄される男のロマンティシズム
おそらくミステリー映画史上、最高の評価を受けたと言っても過言ではない『容疑者Xの献身』。では、そのドラマのどこにロマンを感じるというのでしょうか?それは教師である石神がその恋心に翻弄されるあまり、利害を度外視し、殺人犯の汚名を被ろうとするその態度にあります。まだ成就すらしていないその恋のため、彼女を思う心のままに、殺人犯という汚名すら甘んじて被ろうとするその心持ちが、あまりにロマンティックなのです。思春期に一途に思いをかける、あの情熱と似通ったものなのかもしれません。映画自体はロマンティックに分類されませんが、石神のロマンティシズムに思わず心打たれてしまうのです。